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深沢 不動明王 摩崖仏 不動滝 岐阜県 瑞浪市 日吉町

 深沢の不動滝にある摩崖仏は高さ10mの大岩に線彫りで刻まれた3mの不動明王です。仏相・手法から共に室町期前半のものとされますが、磨滅が著しかったので、不動講社中の発起によって明治十五年補彫(あるいはこの時刻んだ?)をしたと伝えられるものです。形式は幸い損なわれておらず、共に大らかな仏相のままです。

(不動辻の常夜燈より川沿いに山道を歩いて約500mです。住民に迷惑にならない様にして、十分に気を付けて行く必要があります。)


深沢 不動明王 摩崖仏 不動滝 岐阜県 瑞浪市 日吉町

日吉町深沢不動滝(明治十五・一八八二・線彫・摩崖仏・渡辺氏ら十人)

 日吉町深沢のものは、高さ約十mの大岩に線彫りで刻まれた像高三mの立像の磨崖仏で、線彫仏・磨崖仏としても特記される不動明王です。社中は筆者の曽祖父に当る渡辺定八ら十二名で、像容も仲々美しく見事な明王です。

 

磨崖仏二体

 岩壁や自然石に、浮彫りや線彫りなどで仏像を刻む磨崖仏彫刻のことは、平安時代に中国から日本へも伝えられ、鎌倉時代には各地に広がった。市内では二体共日吉町に彫られており、南垣外のものは全高ニメートル、線彫りの地蔵尊で三メートル程の自然石に刻まれている。
 深沢のものは高さ一〇メートル、巾五メートル程の自然石に彫られた全高約三メートルの見事な不動尊で、やはり線彫りである。仏相・手法から共に室町期前半のものとされ、深沢のものは磨滅が著しかったところから、不動講社中の発起によって明治十五年補彫(あるいはこの時刻むか)をしたとも伝えられるものであるが形式は幸い損なわれておらず、共に大らかな仏相のままである。近くでは室生寺の入口大野寺(弥勤寺)の磨崖仏が有名である。

 石彫として優れているものには、釜戸大島裏山の愛宕山の石龕、日吉本郷の十三仏、南垣外(地蔵)と深沢(不動)の磨崖仏があげられる。
 深沢のものは明治十五年、約一〇メートルの岩壁に三メートルの不動尊が線彫されているものである。ここの不動尊は古くから刻まれていて、不鮮明になったことからこの年再刻されたともいわれ、隅の小祠にはこれを裏付けるように貞享三年(一六八六)、宝永七年(一七一〇)以降の棟札も多く保存されている。当地方に例の少ない磨崖仏というのみならず、実に大らかに刻まれていてよい出来である。このほか磨崖仏ではないが、線彫りによってこれらを真似た小石仏に南垣外増福寺の乞食地蔵・向山の延命地蔵・本郷沓掛の地蔵らもある。

 自然物を信仰の対象とすることは、人間本来のものとして古くから行なわれているが、市内でも釜戸の現龍吟滝・前記の日吉深沢の不動滝はともに不動尊信仰に結びついている。


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