■ 橋

秘境 深沢峡 岐阜県 瑞浪市 日吉町深沢


秘境 深沢峡

注意:現在全面通行止め 通行止や危険な場所があります。観光地ではありません。観光の歴史として掲載いたします。


深沢峡

瑞浪市日吉町字深沢
・標高250m 長さ5km 幅120m
・飛騨木曽川国定公園

 JR中央線瑞浪駅北方12Kmにあるこの渓谷は、往時はその峻烈さを極め日本十二景に選ばれるほどの大自然を誇っていました。
 下流の丸山ダム完成と共にこのあたり一帯は冠水し、当時の面影はなくなりましたが、現在は紺碧の湖水が満々と広がるのどかな風景に変わっています。
 五月橋から眺めれば、水面に落ちる緑とその縁にわずかに露呈する断崖の茶とのコントラストが楽しめます。

 JR中央線瑞浪駅→東濃鉄道バス(35分)→細久手バス停(徒歩40分)→深沢峡

(ぎふの名瀑名峡より)


五月橋 GoogleStreetView 岐阜県 瑞浪市 日吉町深沢

五月橋 GoogleStreetView 岐阜県 瑞浪市 日吉町深沢







 木曽川の恵那峡と蘇水峡の間にあるのが深沢峡で、大正時代以前、知られざる秘境であったが、1932年(昭和7年)に毎日新聞社が募集した“日本十二秘勝”に選定され、一躍有名になった。
 1955年、すぐ下流に当時国内最大規模だった丸山ダムが建設されると、川の水面が40メートルも上昇し、景色は一変した。これがまた話題を呼び、深沢峡までの定期パスが運行し、丸山ダムからは毎日3便の遊覧船が出ていた。
 その後、観光客の足が徐々に遠のき、1980年代の平ば、ついに観光地としての使命を終えた。遊覧船が廃止されて以来、唯一のアクセス路であった岐阜県道352号線は全面通行止となった。県道は現在も通行止のままで、訪問者を拒み続けている。
 日吉町深沢より木曽川に向かって、けもの道を歩いていくと二股に道が分かれ、左に進むと沢へ行き当たり、大きな一枚岩のある岩場を進むと「霧ヶ滝」がある。
 その昔、難病に苦しんでいる人が深沢川の岩に生える苔を煎じて飲んだところ、病が治ったという逸話があり、それ以来、地元の人の間で信仰の対象になっており、霧ヶ滝の脇には祠が祀られて、病が治った人が今でもお礼に訪れている。
 二股の道を右へ進むと、廃墟が現れる。茶屋「伊三松」の建物でショーケースや6畳ほどの座敷があり、木曽川の流れが一望できる。県道から見ると平屋に見えるが、実際は崖の下に1階と2階が隠れていて、県道から見えるのは3階部分だ。3階は観光客を相手にした茶屋になっており、2階は、なんと宿泊場になっていた。当時、伊三松には電気・ガスがきておらず、電話も通じていなかった。また、郵便物や新聞も伊三松までは届けてくれなかったという。急峻な崖にせり出すような形で建てられているが、その真下には東屋の船着き場がある。東屋には、貸しボートがあり、多くの観光客で賑わっていたという。1987年に伊三松の女将さんが病に倒れ、そして、帰らぬ人となってしまったのだ。女将さんが病で倒れるのと同時に、深沢峡は観光地としての終焉を迎えた。
 木曽川へ降りていくと真っ赤な鉄骨造りのつり橋「五月橋」がある。この橋には底板がなく、鉄骨の上にグレーチングが敷かれていて、水面が隙間から見える。
 現在架かっている橋は二代目となる五月橋で、丸山ダムの建設に伴い水面が上昇したため、架け直された。初代五月橋は木とワイヤーで造られた非常にスリリングな吊り橋で、渓谷の川面まで40メートルもあった。橋の下をくぐると、どこからともなく大きな水音が聞こえ、滝がある。深沢川で見た霧ヶ滝よりも大きく、落差は10メートル程、少し入り組んだ場所にある。「七つ滝」というこの滝の水は、木曽川にダイレクトに流れ込んでいる。水位が上がる前は7つの滝があったと言われている。
 現在は新丸山ダムの建設が進み、また25mほど水位が上がることになり、真っ赤な二代目五月橋は水に沈むことになる。その上に三代目の五月橋が建設される予定である。

(鹿取茂雄著 封印された日本の秘境より)

深沢峡 岐阜県 瑞浪市 日吉町深沢
(土岐群状勢一般 昭和12年11月 裏表紙広告より)

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