山の中腹に天を仰ぎ見るうさぎ岩。今にも動き出しそうなその姿は、自然に出来たとは信じられないほどです。
『うさぎ岩眺めスポット』から見るもよし、登山道を登って間近で堪能するもよし。どうぞ皆様でお越しください。
兎岩(うさぎいわ)
大川十三塚にあり、その岩兎が山を駆け回っている姿の遠望である。
(陶資料より)
うさぎ岩
大川十三塚の国道363号から南前方を見ると、山を駆け登ろうとする姿のうさぎ岩が立木の間に見えます。世界一の茶壺から数十メートル南へ行くとそこに「登山道入口」の立札が立っています。春の新緑、秋は木々の紅葉、夏には谷間のせせらぎと軽い山歩きに最適なポイントです。岩の上に立つと更に自然の造形物の感を深め、かつて古代人が神と崇(あが)め祭祀したであろう跡かと思える平地もあり(今は低高木に覆われているが)磐座(いわくら)説も聞かれます。
(すえMAPより)
うさぎ岩
大川十三塚の交差点から東南方向の山を見ると中腹に、確かにうさぎの形をした大岩が見えます。
明治14年に猿爪宝昌寺、大川林昌寺の総本山である京都妙心寺の管長荻野独園(どくおん)氏がこの地を訪れた際、うさぎ岩を見て漢詩を詠まれました。
漢詩ですので私には意味がよく分かりませんが、小木曽茂博著の「すえまち むかしこぼればなし」に、その要約が載っていました。
それによると、「山が背後に夕陽を受けて、その岩の形がまるで黒いうさぎが座っているような格好に見えるので、私はふと昔この辺りを神の使者として治めていたという石のうさぎの伝説を思いおこして、何度もその山を見入っているのです。」
荻野管長による書額が大川林昌寺本堂に掲げられています。
うさぎ岩に関する昔話は、「月から降ろされたうさぎが、満月の夜に月に帰ろうとしたが、夜が明けてしまい岩に成ってしまった。」という話しの他に、神の使者という話しもあったのですね。
うさぎ岩への登山道は、街づくりの方たちにより整備されており、世界一の茶壺から約20分で登ることができます。3月末になれば山のこぶしを楽しむこともできます。
岩は目測で周囲30m、高さ6mほどで、登山道途中のビューポイントからの眺めは、うさぎ岩もさることながら十三塚方面の眺めもなかなかのもんです。もっともっと誇っていいと思います。まさしく陶の大切な資源です。
㊟現在、岩の麓が崩れやすくなっています。麓まで近づくことなくビューポイントから眺めてください。
(もっと知ろう“陶”より)
うさぎ岩
(うさぎは1羽、2羽と数えるのが正しいが、一般的には1匹、2匹と表現)
今のお月様にゃあ餅つきうさぎは2匹しかおらんけどのー、大昔にはのー、月の神様にお仕えするどーらーぎょうさんのうさぎがおったそうな。
月の神様はどーらーきれい好きでのー、ほんだもんで地球から見えるお月様はきれいなんよ。しかもお恵み深ぁ神様でのー、お月様の国で餅をついちゃあ他の星の神様にも分けてあげとったそうな。
お月様の国をきれいにしたり、餅をついたりすんのはうさぎんたぁの仕事なんだけんど、神様に背いて掃除も餅つきもやらへんうさぎんたあもおってのー、お月様の神様はそういう怠けうさぎんたぁを次から次へと俺らの地球に下ろーてしまやーたそうや。
最後まで残ったウサギは3匹で、2匹のうさぎで餅をつき、もう1匹は手返しをしよーたげな。
お月様では、いっつもかも餅をついとるんやけど、どんだけついても足らへん。だって、どーらー数の星の神様たぁに分けてあげるんやから。
そのうち、手返しウサギは先に地球に下ろされたうさぎんたぁと同じように、だだをこねて時々手返しを怠けるようになってしまったそうや。
月の神様は、手返しウサギに餅つきの大切さを話ししたんやけんど、そのうち全くやらへんくなってしまった。だもんで、他のウサギんたぁと同じように、ついに地球に追いやってしまわれたんや。そんやから、残った2匹だけで餅をつくようになったんよ。
先にお月様の国を追われたウサギんたぁは、昼は寝て、お月様が出るがさあと、お月様に向って急に踊り出して月を懐かしむのや。そのうち、ウサギんたぁは野ウサギとなり山うさぎとなっちゃって、夜しか行動ができへん体になっちゃったそうや。
最後に下ろされた手返しウサギも、他のウサギと同様に月を懐かしみ、お月様のもとへ帰りたくなり、近くの一番高い山に登って月の神様にお願いしようと山に登りかけたんやけんど、昼間はキツネや犬にぼいかけられてなかなか登れやせん。やっと8合目まで登った時、太陽が出てきて昼間となり、ついに動けんなくなって岩となってしまったのや。
これが現在のウサギ岩や。
(もっと知ろう“陶”より)