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風神様 瑞浪市釜戸平山

風神(かみかぜ)様の祭り
釜戸町平山
(二百十日の前日)

 平山の車が通る道から少し山道に入った所に、風神様はまつられています。
 昼間も薄暗い山道から15段くらいの石段を上がって行くと、太いヒノキの木があります。その木の根元に「風神」と彫られた石の祠があります。風神様のお祭りは、通称「火灯し」、地元の人は「ひとぼし」と呼んでいます。字のとおり、日が沈み、あたりが薄暗くなり始めた頃、ろうそくの火を風神様の前に灯します。実施日は、二百十日の前日と決まっていて、いつもだいたい8月31日だそうです。
 風の神様に台風が来ないように、来たとしても被害が出ないようにお祈りするそうです。
 いつの頃から始められたお祭りかはっきりしないようですが、石に刻まれている文字は天保9年(1838)とあります。85歳の方のお話では、「自分が小さい頃からあったよ。」とのことでした。10年くらい前まではろうそくではなくて15cmくらいのたいまつ(マツの木片)を灯していたそうです。たいまつの明かりで人が集まり、するめでお酒を酌み交わしたようです。
 平成22年(2010)8月31日、6時過ぎに一人また一人と小さいろうそくを持った人が来ました。風神様の前にろうそくを灯して手を合わせます。小さい子どももかわいい手をあわせていました。毎年10数人ほどの参拝者があるそうです。階段を下りて行くとセミの声だけが山の中にひびいています。振り返って風神様を見上げると暗闇にろうそくの火だけがちらちら見えました。
 平山地区は山の中ですが、田畑やあぜ道、家々の軒先も美しく草が刈り取られています。風神様のまわりも、だれともなく美しく整えられるようです。
 風神様に火を灯してお参りしたあとは、それぞれが平山公民館に移って食事会をします。男の方達ばかりでしたが、昔話で盛り上がっていました。「風神様のおかげでコミュニケーションがとれるよ。」と話されました。
 区の行事としては、八幡様の春秋の祭りとこの風神様を行うそうです。この平山地区にはたくさん仏様、神様があり全部合わせると11もあるそうです。この11のお祭りは区
としてではなく、「大正会」という会が主になり、4月第1日曜日にまとめて行うそうです。大正会20名が班分けをしてすべての神仏に洗米、お神酒、玉串をお供えします。
 この地区でも「虫送り」の行事が戦中まで続いたそうですが、戦後は絶えたそうです。
 さまざまなお祭りが江戸、明治時代にはあったことでしょう。そのお祭りをまとめて行うようになったものの、その時代にあったように絶やさない工夫がなされているようです。
 お祭りは、田畑や山の作業をみんなが力を合わせていた時代の、大切なコミュニケーションの場だったという事をあらためて感じました。

 


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