元和2年(1616年)、土岐・恵那・可児郡の内で1,600石を統治した旗本・馬場昌次が父の菩提のために建立した馬場氏の領内菩提寺です。寺には馬場氏代々と僧侶の使用した駕籠や詩経物産図譜などがあり、本堂裏には馬場氏累代の大きな墓石があります。
山門は天保6年(1835年)に、釜戸町神徳字西山地区自生地の大木をもって建立したもので、国内唯一のハナノキで作られた希少な山門です。
天猷寺は「椿寺」とも呼ばれ、椿の花の時期には多くの人々が訪れます。
山門のほかに、駕篭、詩経物産図譜、旗本馬場氏累代の墓が市の文化財に指定されています。
備前の国原城には、キリシタンの旗がぶきみにはためいていました。旗本馬場利重は家来たちと一緒に命令を待っています。敵は、百姓町人それに女子どもまでまじっています。利重の槍(備前兼光作の名槍)は今までに幾人ものキリシタン信者の血を吸ってどんより曇っています。やがて出陣の命令が出て、激しい戦が続き翌年になってようやく城を落とすことができました。戦で使った血ぬりの槍は、居間にかけてありましたが、ある夜家来がそれを持ち出し、狂ったように人を傷つけました。手元に置くのは良くないと釜戸の天猷寺へ送りその槍で死んだ人の冥福を祈ってもらいました。その後この血槍は土蔵へ納められていましたが、蔵から出された時に、お坊さんがけがをしたり、強盗が入り小僧さんが斬り殺されたり、きまって悪いことがおきました。それから一層注意がはらわれ、血槍は土蔵の中にしっかり納められています。 |
瑞浪市釜戸町1540-1
瑞浪市教育委員会 スポーツ文化課 TEL.0572-68-7710
JR釜戸駅下車徒歩10分 中央自動車道瑞浪ICより15分
宗派/臨済宗妙心寺派(御本尊:釈迦如来)
TEL0572-63-2044
天猷寺の駕篭
江戸時代。天猷寺の僧侶と釡戸領主旗本馬場氏が代々使用したものと伝えられ、市内に残る駕篭の中では、材質構造ともに上質である。
詩経物産図譜
江戸時代末期。旗本馬場氏第10代の馬場筑前守克昌作の博物図譜。第1・2巻は草本85種、第3巻は木本47種、第4巻は禽獣64種、第5巻は虫魚35種が納められている。
旗本馬場氏累代の墓
江戸時代。旗本馬場氏の菩提寺天猷寺にあり、二代利重から8代にわたる当主とその一族のもので、いずれも江戸時代の武家・旗本の格式を偲ばせる立派なもの。