小里川添いの木蔭には嘉永四年(一八五一)の「川筋安全」の水神祠や馬頭があります。山際の大正ニ年の馬頭は三面八脅で全高2mという立派さです。
稲津町小里山之田の旧県道小里川沿の「水神 川筋安全 嘉永四年(一八五一)施主村中・井箆氏」とあるもので、現在でもしばしば水害を受けている小里川が荒れる場所ですから、川筋安全を村中でこの水神に願って造立したものと考えられます。
水神詞
切妻型
小里宮ヶ根地内行者渕上
H51cm
刻銘
水神 川筋安全
嘉永四亥(一八五一)正月吉日
施主 井箆光蔵光之
馬頭観音
舟形光背浮彫立像
小里宮ヶ根地内行者渕上
H59cm
刻銘
大正十四年(一九二五)四月一日
小栗定市
馬頭観音
舟形光背浮彫立像
小里宮ヶ根地内行者渕上
H56cm
刻銘
明治廿七年(一八九四)小栗安五郎建之
馬頭観音
舟形光背浮彫三面ニ臂坐像
小里宮ヶ根地内行者渕上
H42cm
刻銘
馬頭観世音
昭和十六年三月十五日
家口馬蕃息伊藤長二郎建之
小里宮ヶ根地内行者渕の上方に霊神場が在る。行者渕というのは、小里川が宮ヶ根地内に創った渦をまく不気味な深渕の名称で、その渕の上は断崖絶壁の難所で、昔、ここで行者が荒行を行っ
た場所である故、村人はこの渕を行者渕というようになった。その由緒ある行者渕の上方山中一帯が霊神場になっている。
(稲津の石造物より)